2014年7月28日月曜日

ツツガムシ病 昔は阿賀野川流域も大流行地だった  2011年7月30日 記事

 豪雨が中越地区を中心に猛威を振るい、水害が発生しているようですが被害の全貌は明らかになっていません。当地阿賀野市では雨は峠を越えましたがみなさま、河川の氾濫にはご注意下さい。

 高校野球も日本文理が劇的なサヨナラで新潟明訓を下しました。いよいよ夏本番ですね。

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最近

「恙蟲研究夜話(つつがむしけんきゅうやわ) 宮村定男 著 (考古堂)」 

という本を読みました。

 「日出るところの天子 書を日を没するところの天子に致す つつがなきや」

 聖徳太子が遣隋使として小野妹子を中国に派遣した際の手紙の文句は、ほとんどの方がご存知ではないでしょうか。

 古代は日本全国で見られた病気だったという説がありますが、時代を下って江戸時代頃にはツツガムシ病は秋田・山形・新潟の大河川流域の風土病と考えられるようになったそうです。

 明治30年代は、阿賀野川流域のツツガムシ病による死者が毎年200~300人にのぼり、横越の沢海、安田地区や五泉の巣本などで、我が国の細菌学者たちがツツガムシ病に感染することも辞さない決死の覚悟で研究していたとのことです。

 ツツガムシ病はリケッチアという、ツツガムシの体内に寄生している病原体により引き起こされます。またツツガムシはネズミに寄生しており、河川敷にいるネズミがツツガムシ病を広げる仲介者になるそうです。
 
 戦後に海外でクロラムフェニコールやテトラサイクリンといった抗生物質が開発されて、ようやく人々はツツガムシ病の死の恐怖から解放されたということが記されていました。

 現在でも大河川流域で農作業中にツツガムシに刺されツツガムシ病を発症する方がいらっしゃいます。

 陰部やわきの下などの柔らかい皮膚に見つかる、赤黒い刺し口が診断の手掛かりになります。下記にまとめサイトをリンクしておきます。刺し口の写真と症状はを引用させていただきました。http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_13/k02_13.html
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 「発熱、刺し口、発疹は主要3徴候とよばれ、およそ90%以上の患者にみられる。

 また、患者の多くは倦怠感、頭痛を訴え、患者の半数には刺し口近傍のリンパ節、あるいは全身のリンパ節の腫脹がみられる。

 臨床検査ではCRP強陽性、ASTおよびASL などの肝酵素の上昇がおよそ90%の患者にみられる。また、治療が遅れると播種性血管内凝固をおこすことがあり、致死率が高い。」

 小生も1例だけツツガムシ病疑いの患者さんを受け持ったことがありますが、テトラサイクリンという薬を点滴したところ、発熱、肝障害などの症状が早期に軽快、退院することができました。

 ツツガムシ病にはワクチンがないため、予防法はまず河川敷のやぶなどに近づかないこと、もし用事があるのであれば、皮膚を露出しないように長袖、長ズボン、手袋などで防護することだそうです。 

 別名 「洪水熱」とも言われていますので、今回の水害の後で、河川敷の耕作地で作業する方は、熱中症とともにツツガムシ病の予防対策にもご留意ください。

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