故・森繁さんの緊急手術で有名に グルメの腹痛~胃アニサキス症 2011年9月5日 記事

9月5日（月）

　台風12号が関西地方に甚大な被害をもたらしました。今後当地でも豪雨に対する注意が必要な状態とのことです。
　これまでフェーン現象で30℃以上だった気温も、急激に涼しくなると思われます。みなさま風邪にはご注意ください。

　本日は寄生虫アニサキスについてのお話です。

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　30年ほど前、国民的俳優だった故・森繁久弥氏が突然、激しい腹痛を訴え、開腹手術を受けたというニュースがありました。

　腹痛の原因は、わずか数センチの糸くずのような寄生虫　「アニサキス」　だったのですが、その事件で　「アニサキス」　は一躍有名になりました。
（右画像は　http://mymed.jp/di/azx.htmlからお借りしました）

　アニサキスは　イルカなどの海獣の胃に寄生し、長さ30㎝位まで成長します。

　人間には、幼虫時代に、アジ、サバ、イカなどの生食を介して胃腸に食いつき、七転八倒するような腹痛を引き起こします。

　診断は、まず問診で疑い、緊急内視鏡で確認します。

　腹痛で病院に行った際に

「腹痛が起きる前に、青魚やイカの刺身を食べませんでしたか？」

と医師に聞かれた経験のある方もいらっしゃるかも知れません。

　もし食べた、ということで、食事をしていない状態なら、すぐ胃カメラで虫体を探し、アニサキスが胃の壁に食いついて頭部を粘膜に突っ込んでいたら、鉗子で引っ張って除去します。

　小生も何度か経験しましたが、アニサキスを除去した瞬間、

　患者　「あれ、さっきまでの腹痛が全然無くなっちゃった！(驚き喜ぶ)」

となります。

　秋は食べ物がおいしくなり、魚介類も脂がのってきますが、グルメの方は刺身にはご注意ください。
　新鮮なものほど、アニサキスが生き残っている可能性が高まりますので、どうしても新鮮な刺身が食べたい時は、よく噛んで食べてください。

　噛む回数を増やすだけでは、アニサキスの予防効果は限定的だと思いますが…（冷凍物はアニサキスも死んでいるので安心ですが、やっぱり生きのいいものが食べたいですよね…）。